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【おすすめ】『ケーキの切れない非行少年たち』を読んだ感想

こんにちは。フミです。

この記事は「ケーキの切れない非行少年たち」という本の紹介と感想です。

少年・少女たちが非行に走る理由は性格や家庭環境だけではなく、軽度の知的障害や発達障害が原因であり、親や社会からそのサポートを受けられていない現実があることを述べています。

タイトルの「ケーキが切れない」というのは発達障害や境界知性(明らかな知的障害ではないが状況によっては支援が必要)の人々はケーキを上手に等分できないことから、つけられています。

ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書)【電子書籍】[ 宮口幸治 ]

「ケーキの切れない非行少年たち」の要約

 1.非行少年は知的なハンディを抱えていることもある

 2.親や社会に障害やハンディがあることを気づかれなかった子どもたちである

 3.学習の基礎となる認知機能面のトレーニングが必要

要約の解説

1.非行少年は知的なハンディを抱えていることもある

著者が多くの非行少年たちと面接してきた中で、凶悪犯罪を行った少年にその理由を尋ねても、難しすぎて彼らには答えられないことが多かった。

更生のためには自分自身と向き合い、反省することが必要だが、そもそもその力がない。

つまり「反省以前の問題」を抱えた子どもが大勢いることに気が付いた。

彼らは簡単な足し算や引き算ができず、漢字も読めないだけでなく、見る力や聞く力、そして見えないものを想像する力がとても弱い。

そのため話を聞き間違えたり、周りの状況が読めなくて人間関係で失敗したり、イジメに遭ったりしやすい。

それが非行の原因になっているのだ。

こうした子どもは、勉強についていけなくなり、やがて学校に行かなくなり、暴力や万引きなど問題行動を起こすようになる。

軽度知的障害や境界知能(明らかな知的障害ではないが状況によっては支援が必要)があったとしても、気づかれることはほとんどない。

学校では「厄介な子」として扱われるだけだ。

必要な支援がうまく届かず、手に負えなくなった子どもたちが、最終的に行き着くところが少年院なのだ。

2.非行少年には共通点があり、親や社会に障害やハンディがあることを気づかれなかった子どもたちである

事件を起こす非行少年たちは劣悪な家庭環境や貧困などが原因だけでなく、「認知機能の弱さ」「感情統制の弱さ」「融通の利かなさ」「不適切な自己評価」「対人スキルの乏しさ」+「身体的不器用さ」という5つ+1の共通点を持っているということがわかった。

これは普段の生活では意識して関わらなければ気づかれないようなポイントばかりで社会的にも気づかれにくいポイントになっている。

3.学習の基礎となる認知機能面のトレーニングが必要

認知機能のトレーニングとして「コグトレ(認知機能強化トレーニング)」という方法を紹介している。

感想

犯罪を犯した=悪というイメージが少し変わるような内容でした。

社会的サポートが必要な少年少女がサポートを受ける対象にすらなっていない現状、そして、サポートを受けないまま非行に走り、再犯を犯してしまうという悪循環があることがわかり、なんとも言えない気持ちになりました。

興味のある方はぜひ一読ください。

ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書)【電子書籍】[ 宮口幸治 ]

漫画版もあります。

本書の内容を具体的なエピソードにしてわかりやすく書かれています。

ただ、少しショッキングな内容もあるのでそういった内容が苦手な人は控えた方がいいかもしれません。

ケーキの切れない非行少年たち 1巻【電子書籍】[ 宮口幸治 ]
ケーキの切れない非行少年たち(シリーズ全巻)